小児皮膚科について
気になる症状は早めにご相談ください
小さな子供の皮膚は、まだ成長段階にあるため、大人と比べてかかりやすい疾患があります。
小児特有の疾患もあり、先天性の皮膚疾患のほとんどが、この小児期に発見されます。
名取つちやま皮ふ科では、親御さんと相談しながら小児特有の症状に対応していきますので、不安なことや気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。
子どもの皮膚の特徴
子どものお肌は、みずみずしさがあり、ハリのある皮膚が特徴的です。
皮膚の表皮は、いくつかの層で構成されており、その一番外側にあるのが角質層です。
子どもの角質層は、大人の約半分から3分の1程度の厚みしかありません。
角質層の役割
角質層は外部からのさまざまな刺激から体を守る「バリア」の役割を担っています。
その角質層は皮脂(皮膚から分泌される脂分)で守られていますが、皮脂の分泌は生後まもなくから急激に減少し、思春期前までは非常に少なくなるのです。
そのため外部から刺激を受けやすくなり、小児期は皮膚のトラブルが発症しやすくなります。
ご相談の多い症状・お悩み
あせも(汗疹)
あせも(汗疹)は、汗を出す管状の腺(汗腺)が詰まって皮膚の下に汗がたまり、それが原因でおこる炎症です。
子どもは汗腺自体が少なく、汗をかきやすい体質であるため、あせもの症状は出やすくなります。
- 赤い発疹(小さなぶつぶつ)
- ヒリヒリとした痛み
- かゆみ
が、あせもの特徴的な症状です。
あせもの治療
赤い発疹がみられ、かゆみをともなう症状には、ステロイド外用薬が検討されます。
あせもの予防
子どもは汗をかきやすい体質のため、事前に汗の対策をとることで予防できます。
- こまめに汗を拭き取る。
- シャワーをあびて肌を清潔に保つ。
- 適切な温度調整をする。
など、日々の生活の中で「汗をかきっぱなしにする」環境をつくらないことが大切です。
虫刺され
外遊びに夢中になると、子どもは色々なところに出入りして、さまざまな虫に刺されます。
春〜夏〜秋にかけて毛虫・ダニ・ノミ、とくに夏場は蚊・アブなどの虫に刺されることが多くなります。
またシラミなどの虫は、1年中をとおして咬まれる可能性があります。
虫に刺咬されると、皮膚には
- 赤い発疹
- 痛みやかゆみ
などの症状が出ます。
症状に対する対処法
刺されたり、咬まれてしまった場合の対処法として、症状の軽度・重度によって治療の方法は異なります。
症状が軽度であれば市販のかゆみ止めなどでも問題ありません。
しかし、痛み・かゆみが強く、腫れの症状が続いている場合は、皮膚科を受診するようにしましょう。
症状にもよりますが、当院ではステロイド薬や抗アレルギー剤などによる治療が検討されます。
庭先に身近にいる虫も多いですが、とくに野原や山などに出かける予定がある場合は、事前に虫除け剤を用意したり、服装はできるだけ皮膚を露出しないものを選ぶなどの配慮が必要です。
とびひ
とびひは、あせも・虫刺されなどの傷に細菌が付着することで、二次感染的に感染症が起こる状態です。
とびひの特徴
形状としては水ぶくれ(水疱性)のものが多く、かゆみの症状を伴います。
また、子どもは皮膚を掻きすぎてしまうことがあるため、細菌が周りの皮膚にも広がりやすくなります。
とびひの治療
とびひの部分は、優しく丁寧に洗い、清潔に保つことが必須です。
お肌の症状を確認しながら、抗菌剤や抗生物質などの外用剤と内服を処方します。
また、かゆみが酷い場合は、かきむしることを防止するための抗ヒスタミン剤の服用も検討されます。
アトピー性皮膚炎
アレルギー性の炎症によって発症する湿疹を、アレルギー性皮膚炎といいます。
その代表格が「アトピー性皮膚炎」です。
アトピー性皮膚炎の特徴
かゆみを伴う湿疹が「発症しては治り、また発症する」というように慢性的に繰り返されます。
アトピーは小児期に発症しやすく、とくに幼少期は全身の広い範囲で皮膚炎が起こることがあります。
アトピー性皮膚炎の原因
もともと乾燥肌であったり、皮膚のバリア機能になんらかの異常がある場合に皮膚炎が起こることもあります。
また、遺伝的な要因があると発症しやすいのもアトピー性皮膚炎の特徴です。
気管支喘息の子どもについて
気管支喘息を患っている子どもの半数は、アトピー性皮膚炎がある(もしくは既往歴がある)ことがわかっています。
アトピー性皮膚炎に適切な対処をすることで、喘息悪化の予防にもつながります。
アトピー性皮膚炎の治療
まずは、かゆみや炎症を抑える治療を行います。
- ステロイド薬
- 保湿薬
- 抗アレルギー剤
などが検討されます。
治療だけでなく、予防も重要です。
衣服は常に清潔に保ち、お肌への刺激や乾燥をなるべく避けながら、丁寧なスキンケアが大切です。
アトピー性皮膚炎の詳しい情報は下記のページでご紹介しています。
水ぼうそう(水痘)
水ぼうそう(水痘)は、水痘帯状疱疹ウイルスの感染によって発症する、とても感染力の強い病気です。
水ぼうそうの特徴
はじめは軽い頭痛や発熱からはじまり、1日~1日半程度で顔や体幹周辺に赤い発疹が出はじめます。
強いかゆみや発熱の症状をともないますので、注意が必要です。
やがて発疹は全身に広がり、水ぶくれの状態を経て、最後は「かさぶた」になります。
学校保健安全法で指定されている感染症
強い伝染性があるため、すべての水疱(すいほう)がかさぶたになるまで、登校することができません。
まずはお気軽にご相談ください
子どもの水ぼうそうは非常に強い感染力を持ちますが、症状自体が重症化するケースはほとんどなく、決して怖い病気ではありません。
しかし、免疫が低下している場合やアトピーを患っている子どもは、まれに重症化することもあります。
「水ぼうそうかな」と感じたら、早めに当院へご相談ください。
※ 2014年以降、「水痘ワクチン」は定期予防接種に含まれています。
乳児脂漏性(しろうせい)湿疹
脂漏性湿疹とは、頭皮や顔などにできる皮膚炎です。
かさぶたのようなものができ、少し赤みがかっていたり、発疹が見られることもあります。
発疹が体にまで広がっているような場合や、症状が悪化していると思われる際は、早めに当院へご来院ください。
乳児脂漏性湿疹の特徴
生まれて半年ぐらいの間に見られることが多く、2歳を過ぎたころには自然に治癒します。
かゆみもとくになく、痕も残りません。
乳児脂漏性湿疹の原因
はっきりとした原因はわかっていませんが、皮脂分泌が過多になるためとも考えられています。
そのため、お肌の清潔を保つなどの適切なスキンケアは効果的です。
乳児の場合は赤ちゃん専用のシャンプーや石けんなどを使用することも有効です。
水いぼ
「水いぼ」は、伝染性軟属腫ウイルスの感染が原因で発症する皮膚疾患です。
皮膚に小さな丸い「いぼ」ができます。
皮膚のバリア機能が低下していると、伝染性軟属腫ウイルスに感染しやすいとされています。
お子さまがアトピー性皮膚炎を患っていたり、乾燥肌の場合は注意が必要です。
「水いぼ」の症状
かゆみや痛みなど、とくに症状がでないケースが多いです。
無理にかきむしってしまうと、ウイルスが周囲の皮膚に伝染し、広範囲に広がる可能性があります。
また、プールなどで肌が接触したり、ビート板等の器具を介しても感染することがありますので注意してください。
水いぼの治療
免疫力がつくにしたがって、自然に治癒します。
治療が必要な場合は、専用の器具で「水いぼ」を取り除くのが一般的です。
治療は痛みを伴うケースが多いため、麻酔テープなどの使用も検討されます。